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花を裂く(抄)

人の性の快楽に溺れゆくを覚えわれの少女の悲鳴をも聞く

快楽抗いがたくかつ性を憎む立ち裂かれてや花のさかりに

えぐられし埴輪兵士の目を怖れつつ怖れつつのぞきこむなり

泣きそうな声をしていた暴力のことは訊かないほうがいいのね

その朝の雪のなかから生きはじめたわたしを殺すのは必ずわたし

花びらはしずかにながれすぎにけり水のおもてのわれを砕いて

地下鉄(抄)

わからない片手をあげて合図する心は歓迎なのか拒絶か

靴として髪の毛として日常があふれるアウシュビッツの灰いろ

生きながら燃やされる子のためにさえ世界は沈黙したままだった

もう一度やりなおせないかラスコーの洞窟へ帰る地下鉄ないか

空の不安(抄)

分かちあうたったひとつの空を恋えば遠き内部に死の灰が降る

はじめからなかった翼の傷跡が痛くてしょうがなくて泣いたの

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