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硝子(抄)
曇る窓硝子を指で拭いつつ見つめる生まれたその朝の雪
オペラグラス(抄)
この春の驟雨の夜のぬかるみのわたしひとつの陰に溺れて
遠ざかる光景ならば愛せるかオペラグラスは逆からのぞけ
夢の羊水(抄)
笑む死母に添い寝の真夜に秘めやかに心はそっと抱かれて溶ける
母を尋えばただ透きとおる水のよう散り舞う桜花びらのよう
桜ちる母よいのちに透きとおるほどの重たさありてちりぬる
ひたすらに闇ふかくゆく地下茎の繊細 母の骨をさがして
草故郷(抄)
やさしさに責められながら夕焼けの道を黙ってあるいた 母と
ジュラ紀より育まれたる銀杏が落ちていくみたい あっけなかった
古生木の種子の一粒そのほかにどんな出自もあらざるものを
遠き山に日が落ちる頃赤ん坊のふりして眠るこの子はだあれ
あれはどこの野原だろうか千年ののちのわたしが菜の花を摘む
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